ウエルシアのビジネスモデル(※)の中には、「深夜営業」がある。ワーク・ライフ・バランスや働き方改革など、世の中が目まぐるしく変わっている今、このフレーズだけを耳にするとネガティブな印象を持つかもしれない。また、一般論として深夜帯は来店客数が減り、売上も落ちる。その一方で、光熱費や人件費は変わらず必要となり、営業を継続しても赤字になる可能性が極めて高い。

このように、経営的視点では手放しでは喜べない深夜営業を、ウエルシアでは推進している。そう、明確な意志を持って。では、なぜ深夜なのか?その理由は、「お客様に安心して生活してほしい」という想いに尽きる。

※ウエルシアモデル=「調剤併設」、「カウンセリング」、「深夜営業」、「介護」

一人のお客さまとの出会い

実は私も、店舗勤務をしていた頃に深夜営業の意義を身をもって感じたことがある。いつものように勤務をしていたとある日、閉店間際に1人のお客様が飛び込んで来られた。

「すみません。子どもが急に熱を出して!どうすれば良いですか?」

声がする方に目を向けると、赤ちゃんを抱えた女性が立っていた。余程の勢いで走ってきたのだろう、汗だくになり、肩で息をしていた。すぐさま店長と私でお話を伺い、初期対応と女性を落ち着かせることに努めた。

幸い赤ちゃんに発熱以外の所見は無く、伺ったお話からも心配することは無かった。解熱方法や水分補給、その他養生法をお伝えし、関連商品を提供した。合わせて、万が一に備え救急病院とタクシー会社の連絡先をお伝えしたところ、程なくして安堵の表情で帰路につかれた。

時間にして15分程だっただろうか、長いようで一瞬の出来事だった。

誰かの助けになっているという実感

翌日変わらず業務にあたっていると、その女性が再び来店された。

「昨日はありがとうございました。念のため先ほど病院にも行ってきましたが、問題ありませんでした。」

大事ではなくて良かった。そして、わざわざお礼を言いに来てくださったことに、喜びと感動を覚えた。聞いたところによるとお子さんは第1子で、突然の発熱は初めてのことだった。また不運にもご主人が出張で不在、転勤族のため近くに頼れる知り合いもいなかった。そんな中、ウエルシアがあることを思い出し、藁にもすがる思いで駆込んで来られたのだと言う。

今までは当たり前のようにしか思っておらず、どこか他人事だった深夜営業。でも、町にはこうして困っている人がいることを目の当たりにし、誰かの助けになっていることを実感した。

昨今の社会的背景を鑑みると、地域に目を向け支えることは尚更必要ではなかろうか。

町に明かりが灯っている安心

誰かがそこにいる安心

身近で相談できる安心

自分のほんの少しの頑張りが、誰かの安心に繋がると思うと、何だか嬉しい。本当に大変なときに頼ることができる存在や拠り所として、これからもあり続けたい。